沖縄腎フォーラム ~幹事(豆の木クリニック)吉原 邦男~
日本医師会の生涯教育制度が施行されて久しい。また各学会では認定医制度を設け、単位取得に講演会、研修会を開催している。県内にも中央より高名な先生がみえて、記念講演を開催し、最新の知見が紹介される。拝聴する講演会は、内容が高尚で時に現実味に乏しいこともある。又、県内でも各研究会、同好会が花盛りで、地道な活動が続けられている。当然のことながら初期研修プログラムが最も重要であるが、その後の専門研修プログラム及び生涯研修プログラムも又、重要である。
その中で、本会(沖縄腎フォーラム)の起源は1982年(昭和57年)11月10日に遡る。本会の前半は文献紹介で後半は症例検討会で構成されている。その時その抄読会の担当者、年月日、文献のタイトル、著者名、雑誌名、内容要旨がノートに記載されている。会の名称は暫らくして命名された。
早いもので25年目を迎えようとしている。本会は、当初、専門家の集まりではなく、透析療法に従事する同業者の集まりとしてスタートした。出身地、卒業大学、卒業年度、勤務病院もそれぞれ違う同業者同志が毎月1回2時間程集まり、その日の担当者によって、興味ある論文もしくは実際の臨床と関連のある論文が紹介される。単語明瞭、意味不明で、全くの英文和訳に終わったこともあった。
しかし、徐々に広大なNephrologyの領域でオリエンテーションがついてきた。広さと深さと進歩が解る様になった。後半では、各施設からの症例が紹介され、臨床上の問題点が話題となった。各自の考え方が披露された後、討論を経て結論へと導かれる。この得難いメンバーの組み合わせが、味わい深い雰囲気を作り、帰路、余韻に浸ることもしばしばである。
各施設を紹介すると、まず最初に、安立医院(安里 公)が中部で透析施設を開設した。県立病院とも連携し、中部地区における腎不全治療対策に多大な貢献をしている。
次におおうらクリニック(大浦 孝)は那覇市小禄で新規に透析施設を開設した。浦添まで外来透析のため週3回通院していた患者が那覇に戻って来た。又、日本全国から旅行透析者を常時受け入れている。リウマチ・膠原病の治療対策にも専念している。そのため365日24時間対応している。
豆の木クリニック(吉原 邦男)は糸満のニュータウンで透析施設を開設した。県立病院とも連携し、南部地区における腎不全治療対策に多大な貢献を成している。
安木内科(仲宗根 安樹)は那覇市新都心近郊で透析施設を開設した。近隣の総合病院とも連携し、新都心の診療圏を相互補完することとなった。首里城下町クリニック(田名 毅)も首里近郊で透析施設を開設した。琉大病院とも連携し、人口密集地帯の診療圏で慢性疾患の予防、対策、治療と大いなる発展には目を見張るものがある。
吉クリニック(吉 晋一郎)は南部の中心部で透析施設を開設した。人口増加及び透析者の増加に伴い、近隣透析施設の不足部分を補完することとなり、地元より大いなる期待が寄せられている。更には今年、うえず内科クリニック(上江洌 良尚)が豊見城の新興住宅街で透析施設を新設する予定である。
このメンバーが中心となり、25年の歳月を経て、的確な文献が紹介され、的を得た症例がプレゼンテーションされる。会の司会は、県立病院(腎臓内科)の和気 亨先生で、恒例の開催日にはスムーズに議事が進行され、議論は活発で、時に白熱する場面もある。既に25年前より病診連携は行なわれていた。現在では各施設共、地域に根差し紛れもなく社会の一員となっている。沖縄の医療の一翼を担えるまでに成長した。
最近では各施設の若い先生方が2、3名出席するようになった。特に琉大病院からは古波蔵 健太郎先生の指導の下、研修医の発表がある。新人類はスマートである。最先端のpapersを的確にpick upし、reportする。複雑なcasesでもhigh tech.を駆使し、辛抱強く検索後回答する。そして、美しくプレゼンテーションする。型にはまると強い。しかし、時には基本的な事が欠落する場合もある。又、型破りが少なくなり、無駄・遊びも減少した。いわゆる個性的とか、創意工夫するとか、独創性とか、そういうキャラクターが稀薄になった。そろそろ21世紀にふさわしい奇想天外な発想がでてきてしかるべきである。新陳代謝の激しい昨今、願わくは、このフォーラムががじゅまる(榕樹)の毛根の如く、沖縄の土壌、風土、文化に適したシステムとして太く、そして深く根付く事を期待したい。
年間日程表
1.新年会(1月)
2.新春特別講演会(2月)
3.夏期セミナー(7月)
4.納涼会(8月)
5.定例会(前期/3・4・5・6月、後期/9・10・11・12月)
①抄読会
②症例検討会
③その他(連絡事項)
場所:県立南部医療センター・こども医療センター 講堂
日時:毎月第二火曜日/19:00~21:00
腎・透析・膠原病を専攻する先生方の参加を歓迎致します。
事務局:県立南部医療センター・こども医療センター 和気 亨(腎臓内科)